中館 栄子
<エピソード>幼い頃、私は自然の中で風と一緒に駆け回り、音楽に合わせて歌って踊って、毎日、日が暮れるまで友達と遊んでいました。小学生になると、バレエやモダンダンスと出会い、2つの動きの違いを体験して音楽に振付けることも遊びに加わりました。中高では、脚本、作曲、合唱など、遊びから表現活動へと幅も広がり、大学は自宅から徒歩10分の国立音大へ、「リトミック」との出会いです!!恩師、板野先生からは実践の後、原書を読みながらリトミック理論を学び、20世紀初頭にタイムスリップ、当時の教育思想、芸術思想にわくわくしたものです。さらにオーストラリアのヒーザー ジェル先生からは、モダンダンスで経験した「音楽空間と動きの空間」が蘇る衝撃的なレッスンを受けました。また、アメリカのエイブラムソン先生の「音楽様式とダンス様式」のレッスンでは、バレエのキャラクターダンスが蘇り、「幼い頃の動きの経験」は身体が鮮明に覚えていることを実体験した機会となりました。恩師をはじめとするこの素晴しいリトミシャンとの出会いに感謝です。そして、それまでの体験が、こんなにもリトミックと共通点が多く深い繋がりがあったことを知り、自信を失いかけていた私は、再びリトミックを探求してみたいと志を新たにし、今も発見と感動の日々が続いています。 《古代ギリシャ復活》と言われた近代から現代へと時は移り変わりましたが、私たち人間が創造し続けている《音楽》は私たちの心と身体を同時に育ててくれる、という点では普遍です。そして、音楽の楽しさや喜びを、皆の心と身体で最大限に高め合うこと、それこそがリトミックの醍醐味ではないでしょうか。ですから、私たちの生活、教育のみならず、社会、建築、芸術などへも、その時代時代で最も自然でバランスのとれた考え方を示唆してくれる一番身近な教育法と言えましょう。 私たちは仲間同士の「コミュニケーション」を通して「新しい音楽体験や音楽の発見の喜び」を実感するこのリトミックのプロセスを多くの方に伝えていきたいものです。限りない可能性を秘めた小さな芸術家である子供たちに元気とヒントをもらい、《人間》と《音楽》というリトミックの壮大で普遍的なテーマに向かって、会員相互の学びの輪を大きく繋げていきたいと願っております。
<プロフィール>
国立音楽大学教育音楽学科Ⅱ類(リトミック専攻)卒、同専攻科修了
元国立音楽大学准教授
東京女子体育短期大学
Ensemble Eurhythmics代表
日本ダルクローズ音楽教育学会常任理事
日本ジャック=ダルクローズ協会会員
日本音楽学会会員
日本音楽教育学会会員
日本ソルフェージュ研究協議会正会員
古典舞踏研究会会員
全日本リトミック音楽教育研究会理事・同本部指導講師。
<著書>
「幼児の音感プログラム世界の遊び歌」(東海テレビ)
「音楽研究基礎文献集」(大空社)
共著「リトミック研究の現在」(開成出版)
「リトミック実践の現在」(開成出版)など
<舞台発表>
「プラスティックアニメ(身体による音楽表現)」公演(於東京、ジュネーヴ)
「ピアノや編鐘とプラスティックアニメのコラボレーションコンサート」
「ラフォル ジュルネ2009」で「バッハと踊ろう」のワークショップなど